コンタクトレンズと廃プラスチック問題
豆知識
皆さんは「廃プラスチック問題」をご存じでしょうか。
廃プラスチック問題は”SDGs(Sustainable Development Goals)持続可能な開発目標”に採択された国際目標の一つで、テレビなどで取り上げられるようになったり、2020年にレジ袋有料化が始まったりしたので聞いたことがある方は多いと思います。
ここでは改めて「廃プラスチック問題」についてと、コンタクトレンズとの関係をお話したいと思います。
廃プラスチック問題
プラスチックは石油から大量生産され、その加工しやすさと丈夫さから、電化製品や文房具、ペットボトルなどあらゆる生活用品に使用され必要不可欠な存在です。
しかし、私達の生活を便利にして豊かにする反面、世界を巡って私達の生活を脅かしています。
プラスチックはその丈夫さ故にリサイクルが難しく、今まで生産されたプラスチックの内リサイクルされているのは約16%程度で、多くは不法投棄されています。
回収されたプラスチック製品は焼却や埋め立て処分されますが、プラスチックは燃やすと温室効果ガスが発生するため、プラスチックゴミが増える程地球温暖化を促進させることになります。
また、プラスチックは化学的に分解されてなくなることがないため、国土の狭い日本では近い将来埋立地がなくなると予測されています。
このように廃プラスチック問題は私たちの生活に根強い問題をもたらしますが、最も問題視されているのは“海洋汚染”です。
海洋汚染
不法投棄されたプラスチックゴミは最終的に海に至り、長い間漂流することになります。
海に漂流するプラスチックゴミの量は年間80万トンと言われ、年々量が増えているため2050年には海中のプラスチック量と魚の重量が同じになると予測されています。
海を漂うプラスチックは太陽光や波の影響により細かく砕け、約5mm以下の「マイクロプラスチック」と呼ばれる極小の汚染物質になります。
5mm以下まで小さくなっても分解されるわけではなく、より海の生態系に影響を及ぼし最終的に人間の生活に戻ってきます。
マイクロプラスチックは海鳥や小魚が誤飲しやすくプラスチックは消化できないため誤飲を繰り返すうちに死んでしまい、海の生態系に大きな被害を及ぼしています。
また、これらは食物連鎖により巡り巡って人間の体内に蓄積されることになります。
SDGsはすべての人に健康と福祉を提供し、海の豊かさを守るために持続可能な目標を掲げこのような現実を変える為に世界中が活動しています。
コンタクトレンズとの関係
ではコンタクトレンズはどのように「廃プラスチック問題」に関わっているのでしょうか。
レンズ、レンズを封入しているブリスターケースはプラスチック製品です。
皆さんははずしたコンタクトレンズをどう捨てていますか?
ゴミ箱に捨てる?洗面台に流す?トイレに流す?
リフレアが行った使用済みコンタクトレンズの廃棄方法のアンケートによると、回答者109名中11人の方が「レンズを洗面所やトイレに流して廃棄した事がある」と回答しており全体の10%に値します。
また、日本コンタクトレンズ協会が2019年に行った消費者実態調査で、コンタクトレンズユーザーの約20%が「いつもゴミ箱以外に捨てている」と回答しました。
自治体によりますが、コンタクトレンズとケースの蓋は燃えるゴミになります。
ブリスターケースはリサイクル可能なプラスチックとして各コンタクトレンズメーカーやショップにより回収を積極的に受け付けています。
何故コンタクトレンズをそのまま下水に流してはいけないのでしょうか。
それはレンズはもともと小さいため、下水処理場でさらに小さくされ最初からマイクロプラスチックとして海にたどり着くからです。
コンタクトレンズは1日使い捨てタイプの使用率が最も高いためその分毎日プラスチックゴミが排出されることになります。なので1人だけでも毎日レンズをそのまま下水に捨て続けると1年で相当な量になります。
廃プラスチック問題は地球を汚染し生態系を破壊する点に注目されがちですが、これまでお話した通りこれらは巡り巡って人間の生態にも大きな影響を及ぼします。
国連は廃プラスチック問題をSDGsの一つの国際目標とし、「誰一人取り残さない(No one will be left behind)」を理念に掲げ、日本も積極的に取り組んでいます。
ですが、この目標を実現するにはユーザーである皆さんの協力が必要不可欠です。
レンズとケースの蓋は各自治体に従い分別してゴミとして処理し、ブリスターケースは各コンタクトレンズメーカーやショップへ回収のご協力をお願い致します。
地球を守るため、未来の私達人間が生きやすい場所をつくるためのちょっとした工夫を皆で行いましょう。