コンタクトレンズの素材の違いを理解しよう
用語解説
普段何気なく使っているコンタクトレンズが、何でできているかご存知ですか?自分に合ったコンタクトレンズを見つけるには、まずは素材を知ることが大切です。
本記事では、コンタクトレンズの素材について解説します。
素材によって分かれるコンタクトレンズ
コンタクトレンズは大きく、「ハードコンタクトレンズ」と「ソフトコンタクトレンズ」に分かれますが、さらに素材によって4つに分類されます。
ハードコンタクトレンズ
PMMA(Polymethylmethacrylate, ポリメチルメタクリレート)というアクリル樹脂の硬質プラスチックを使ったハードコンタクトレンズです。PMMAは、酸素を通さないため装用時間に限界があることや目に入れた際の違和感が大きいことなどの理由から、現在はほとんど使われていません。
酸素透過性ハードコンタクトレンズ
酸素透過性ハードコンタクトレンズ(O2レンズ、RGPレンズ、Rigid Gas Permeable Lens)は、PMMAにケイ素を加えることで酸素を透過するようにしたレンズです。現在流通しているハードコンタクトレンズのほとんどは酸素透過性タイプになります。
酸素透過性ハードコンタクトレンズの素材には、シリコンやアクリル系の素材が使われています。酸素を通す性質に加えて、レンズのサイズが小さいことから、角膜により多くの酸素を供給できるというメリットがあります。
ただし、柔らかい素材でできているため、乱暴に扱うとレンズが傷つくことがあるため注意が必要です。
ソフトコンタクトレンズ
現在流通しているソフトコンタクトレンズの多くは、親水性の合成高分子化合物であるHEMA(ヒドロキシエチルメタクリレートHydroxyethylmethacrylate)という素材が使われています。
HEMAは、水分を含むと柔らかくなる性質を持つため、コンタクトレンズ装着時の違和感が小さいというメリットがあります。一方で柔らかい分損傷しやすく、含んだ水分が乾いてしまうと破れやすくなってしまいます。
高含水コンタクトレンズ
コンタクトレンズが含んでいる水分の割合が50%を超えるレンズを高含水コンタクトレンズといいます。含水率が高いほど潤いを感じやすくなるため、高含水コンタクトレンズは低含水コンタクトレンズと比べて付け心地が良好です。また、水分を多く含むため酸素を通しやすく、角膜への負担も抑えることができます。
一方で、高含水コンタクトレンズは目が乾きやすいというデメリットも。水分が多い分蒸発する量も多く、代わりに涙が吸収されてしまうことで乾きを感じてしまいます。涙の量が多い体質の方や、長時間装用しないと決めている方は、あまりデメリットは気にならないかもしれません。
低含水コンタクトレンズ
対して、低含水コンタクトレンズはレンズに含まれる水分が50%を下回るものを指します。高含水コンタクトレンズとは反対に、水分が少ない分蒸発する量も少ないため、長時間の使用でも乾きにくいというメリットがあります。毎日コンタクトレンズを使用する方や、長時間装用したい方におすすめです。
しかし、水分の量が少ない以上、瞳へ酸素が届きにくいという面も。人によっては、ゴロゴロとした異物感を感じたり、目の疲れを感じやすくなる場合があります。
非含水性コンタクトレンズ
非含水性ソフトコンタクトレンズとは、酸素を透過する水分を含まない素材を使用したソフトコンタクトレンズです。素材はシリコンラバー、ブチルアクリレートなどでできています。現在ではあまり多く使用されておらず、日本での入手は難しいようです。
ソフトコンタクトレンズのイオン性と非イオン性
ソフトコンタクトレンズはさらに「イオン性」と「非イオン性」に分けられます。イオン性成分含有量が1mol%以上の素材がイオン性、イオン性成分含有量が1mol%未満の素材が非イオン性と定義されています。
イオン性のコンタクトレンズはマイナスイオンを帯びており、プラスイオンを帯びた汚れやゴミを引き付けやすいという性質を持ちます。そのため、汚染に弱く耐久性にも劣り、花粉症などのアレルギーをお持ちの方にとっては向かない素材だといえるでしょう。
ただ、イオン性のコンタクトレンズは酸素が通りやすく、水分を含みやすい性質のため、角膜への負担が少なく、装用感がよいというメリットもあります。
非イオン性のコンタクトレンズは、文字通りイオンを帯びていないレンズです。そのためプラスイオンを帯びた汚れやゴミを寄せ付けず、イオン性コンタクトレンズと比べて汚れにくい性質があります。
一方で、イオン性ほど水分を含むことができず、酸素透過率も低いため、装用感には劣ります。
まとめ
一言にソフトコンタクトレンズと言っても素材によって特徴やメリットはさまざま。今回ご紹介した他にも、「新素材」と呼ばれるものも登場しています。コンタクトレンズのメーカーは、各種類のコンタクトレンズにうるおい成分や目の負担を軽減させる材料などを入れて、弱点を補おうと研究し続けているのです。
どのメーカーの、どのコンタクトレンズが自分に合うのかは、眼科に行って検査を受け、医師に相談してから判断してくださいね。