視力は矯正できる？度数の意味を正しく知ろう

コンタクトレンズやメガネの「度数」。よく使われる言葉ですが、その意味を正しく理解していますか？
実は、度数というのは単純に「よく見えるようになったからよい」というものではありません。

「視力」と「度数」とは

「視力」と「度数」の意味は明確に異なります。
「視力」が視力検査によって測定されるのに対して、「度数」は眼科や眼鏡販売店で測定してもらうものです。視力はあくまでも個々人の眼の良さを表す値ですが、度数は必要に応じて装着するべきメガネやコンタクトレンズの基準となる値だという違いもあります。

視力・度数の計算方法

視力・度数は、眼科や眼鏡販売店で測定してもらえば正確な値を知ることができます。その値をもとに、メガネを作ったりコンタクトレンズを選んだりします。メガネとコンタクトレンズの度数は、眼とレンズの距離が異なるため差があります。
コンタクトレンズの度数から裸眼の視力を算出する方法は、「0.4÷コンタクトレンズの度数」という計算式を使います。逆に、裸眼の視力からコンタクトレンズの度数を計算する場合は、「0.4÷裸眼視力」で求められます。

※正確な数値は必ず、眼科で測定してもらってください。

コンタクトレンズで視力を矯正するとは？

眼の構造はカメラに例えられますが、写真を撮る際に重要なのが「ピントを合わせる」ということで、眼にも同じことがいえます。眼を細めたり開いたりするのは、ピントを合わせているからです。
たとえば近視は、ピントの合う範囲が近いため遠くにピントが合わず、ぼやけて見えてしまう状態です。コンタクトレンズを入れて、ピントの合う範囲を遠くにずらすことで、遠くが見えるようになります。
ただし、眼にとって良くないのは、遠くを見たいからと度数を強くしすぎること。近くのものを見るのが辛くなるだけではなく、眼精疲労の原因にもなってしまいます。

コンタクトレンズによる乱視の矯正

近視や遠視は、距離によって見え方が違う症状ですが、乱視は対象物までの距離に関係なくぼやけて見えてしまう症状です。
わたしたちが物を見る時は、眼球で2度光を屈折させて眼の奥の網膜でピントを合わせています。その光の屈折がゆがんでしまうと物が二重に見えたり、ぼやけて見えたりすることがあります。この症状を乱視といいます。
乱視はコンタクトレンズで矯正が可能です。きちんとした検査を受けて、適切なコンタクトレンズを装着しましょう。

コンタクトレンズによる老眼の矯正

40代の方で「眼が疲れやすくなった」「携帯の画面がなんだか見づらい」「夕方になると文字が読みづらくなる」という症状が出てきたら、「老眼」かもしれません。
老眼は40歳を過ぎたころから誰にでも起こってしまうこと。遅かれ早かれ老眼対策を考えなければならない時がやってきます。30代から老眼の兆候が現れる場合もあるので油断は禁物です。
もしかして老眼かなと感じたら、早めに眼科医に相談しましょう。眼科医の判断で、コンタクトレンズの度数を下げるだけで症状が改善することもあります。

コンタクトレンズによる円錐角膜の矯正

通常、角膜はドーム状の形状をしていますが、角膜が円錐状に突出してきて中央部分が薄くなる眼の疾患が「円錐角膜」。原因はまだはっきりしていませんが、遺伝やアトピー、喘息などのアレルギー疾患との関連性が指摘されており、眼をこする癖も誘因だといわれています。
円錐角膜では、物が歪んだり何重にも見えたりする症状があらわれます。
初期症状としては光が眩しく感じ過敏になる程度ですが、病気が進行すると物がぼやけて、歪みがひどくなっていきます。また強度の近視、または乱視を併発することが多いことも特徴です。
中期症状の円錐角膜は、ハードコンタクトレンズで矯正できます。円錐角膜の不正な角膜表面を涙液とハードコンタクトレンズで被い、角膜の形状を正常に戻すという矯正方法があります。

レーシックによる視力の矯正

近視の有効な治療のひとつとなりつつあるレーシック。眼の角膜を削り、屈折率を変化させることで近視を矯正させる手術による近視の治療手段です。スポーツ選手や芸能人が視力を回復させたことから話題になり、一般の方でもレーシック手術を受けてメガネやコンタクトレンズの不要な視力を回復させている方々も多いですが、人によって効果の継続期間が異なるともいわれています。
また、レーシックは誰にでも手術が可能なものではありません。年齢、近視の度合い、角膜の厚さによる制限、内科系の疾患を持っていることによる制限など、適さない方がいることが報告されています。
最も危険なのは、このような問題点を医師側と患者側が十分に共有せずに手術をおこない、結果として更に眼にダメージを与えるような状態となってしまうこと。
レーシックに対して不安に感じる部分があるのなら、視力矯正器具であるコンタクトレンズを活用し続けることをおすすめします。

まとめ

コンタクトレンズは高度管理医療機器です。当然、眼科医の診断や管理の元でコンタクトレンズを使用するべきなのですが、
最近はコンタクトレンズがインターネットなどで簡単に購入できるようになりました。しかし、医師の検査を受けずに適切でない誤ったコンタクトレンズの使用を続けていると、眼の病気や障害を招くこともあります。
簡単に買えるから、安いからといって自己診断でコンタクトレンズを使っていると、眼の機能を傷つけかねません。日ごろから眼の健康を意識し、ケアすることが大切でしょう。